コロナ禍でECが拡大…もはや「実店舗」は不要なのか?

目次1 コロナ禍でECが拡大…実店舗がライバルに2 ネット×リアルの相乗効果を狙う コロナ禍で行動が制限されるなか、多く … 続きを読む コロナ禍でECが拡大…もはや「実店舗」は不要なのか?


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コロナ禍で行動が制限されるなか、多くの人がインターネット通販を利用しました。そのなかで議論されたのが「実店舗不要論」。実際、インタネット通販に振り切る決断をした企業も。小売業の今後について、考えていきましょう。

コロナ禍でECが拡大…実店舗がライバルに

2020年、突如として世界を襲った新型コロナウイルス感染症。外出制限のなか、人々の

行動は大きく変わりました。特にコロナ禍をきっかけに「インターネットを介したサービスを初めて利用した」という人も多かったことでしょう。

総務省『家計消費状況調査』によると、2021年、インターネット通販を利用した世帯は、全体の47.1%と約半数。支出総額は、平均3万5,904円/月でした。

コロナ禍前の2019年、インターネット通販の利用者は40.0%、コロナ禍1年目の2020年は46.1%と、上昇幅は鈍化しているものの、確実にネット通販は広がりつつあります。

また年齢階級別にみていくと、40代まではおよそ7割の人が、50代から60代前半にかけては過半数がインターネット通販を利用。70代でも5~6人に1人の割合で活用し、若者だけでなく、高齢者の間でも「インターネットでモノを買う」ことが当たり前になりつつあるようです。

年代別インターネット通販利用率
出所:総務省『家計消費状況調査』(2021年)より作成

また経済産業省『令和2年度電子商取引に関する市場調査』によると、物販系分野のBtoC-EC市場規模は2020年で12兆2,233億円。前年比21.7%、EC化率は8.08%で、前年から1.3%ほど伸長しました。

このような状況下、もはやリアル店舗はいらないのではないか、という論調は強まっています。

飲食料品と衣料品の売り上げ動向について、百貨店やスーパーなどとECを比較・分析している、内閣府『令和2年度 年次経済財政報告』によると、飲食料品については、売上規模はスーパーやコンビニが大きいものの、2014年基準にすると、百貨店はマイナス成長、スーパーやコンビニもプラス成長であるものの伸びは鈍化。一方でECは非常に高い伸び率を記録しているとしています。また衣料品については、百貨店の売上規模が大きいものの、2014年基準にするとスーパーと共にマイナス成長を記録。一方、ここでもECが高い伸びを見せています。

いまやECは実店舗を有する業態にとって、明確な競合業態になりつつあると結論付けています。

ネット×リアルの相乗効果を狙う

経済産業省『令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業報告書』によると、「利用頻度が減った(非常に減った、少し減ったの計)」とするカテゴリーで最も多かったのが「書店」で34.4%。続いて「アパレル専門店」32.2%、「百貨店」29.0%と続きました。その理由として、「接客が面倒」「レジに並ぶのが面倒」「実店舗へ行くこと自体が面倒」といった回答が並びました。

一方で「それでも実際に行った実店舗の特徴」として最も多かったのが、「直接商品に触れる、試せる」で72.5%。「その場で買って、その まま持ち帰れる」53.5%、「家族や友人と一緒に買い物できる」32.3%と続きました。

実物を見ることができる、触ることができるといったリアル感、買い物を楽しむという体験は、ECではなかなか得られないところ。このような傾向は、日本以上にEC化が進んでいるアメリカでも同様なのだとか。

実際、EC化が進む衣料ブランドは、コロナ禍にECでの売り上げが急伸したものの、実店舗の休業分まではカバーできずにいました。コロナ禍で外出機会が減少したことによる需要減の側面もありますが、ECだけですべてをカバーできるわけではないことが明らかになりました。

また行動制限が解除された後、実店舗に客足が戻りつつあることを鑑みると、どんなにEC化が進んでも、消費者はリアル店舗での買い物体験を求めていることが伺えます。

さらに昨今、ECのみで展開していたショップやサービスが、リアル店舗を出店する動きも見られます。たとえば「メルカリステーション」。メルカリの使い方を学んだり梱包代行サービスを受けられたりするショップですが、その狙いはリアルとネットで顧客体験の拡張をめざすというもの。ネット専門のサービスであるものの、それだけではさらなる成長を描けないという判断があったのかもしれません。

また今年のゴールデンウィーク中には、新宿高島屋、最も人の出入りが多い2階のメインエントランス横に、ショールーミングストア「ミーツストア(MEETZ STORE)」が誕生しました。「食・グルメ」「ビューティー」「アート&クラフト」などのテーマに沿って約60社の商品を並べたもので、店頭には在庫は置かず、消費者はウェブサイトを通じて購入するという、最近よく耳にする「売らない店舗」です。

コロナ禍、ECの拡大で小売りを中心に「実店舗の不要論」がささやかれる一方、ECの限界も明らかになりました。柔軟な発想でネットとリアルの融合を図る先に、新たな成長の可能性があるのかもしれません。