不動産投資に小口化の波…大ブームの先、驚愕の未来図

目次1 そもそも「不動産小口化商品」とは?2 不動産小口化商品「匿名組合型」と「任意組合型」の違い3 REITとは?不動 … 続きを読む 不動産投資に小口化の波…大ブームの先、驚愕の未来図


この記事は約5分で読み終わります。

資産運用や相続対策のシーンで、その有効性から富裕層から支持を集めている不動産。一方で、昨今の不動産価格の高騰によって、投資ハードルは上がっています。そこで注目されているのが、「不動産の小口化」。多くの事業者が参入し、さまざまな商品があふれています。不動産の小口化の現状とこれからをみていきましょう。

そもそも「不動産小口化商品」とは?

不動産小口化商品は、その名のとおり、不動産を小口に分けた商品のことで、「不動産特定共同事業法」に基づいて運用されています。取り扱いができるのは、金融庁長官・国土交通大臣や都道府県知事の許可を得た事業者だけです。

不動産特定共同事業法は、複数の投資家から資金を募り不動産を取得・運用、収益を分配する「不動産特定共同事業」に関する法律で、1995年に施行されました。時代の変化と共に何度か改正され、最近では特例事業者の範囲拡大やクラウドファンディングの促進などといった内容が盛り込まれたことで、市場が一気に広がりました。

そもそも1棟の不動産を購入するとなると、都心であれば、数億~数十億円の費用が必要となり、投資となるとかなり高いハードルです。不動産小口化商品は規模の大きな不動産を1口数万~1,000万円単位で小口化しているので、投資金額はぐっと下がります。

不動産小口化商品「匿名組合型」と「任意組合型」の違い

不動産小口化商品は、事業主の違いにより、大きく「匿名組合型」と「任意組合型」の2つに分けられます。

匿名組合型は、投資家が金銭で出資を行い、事業者は事業によって得た利益を投資家に分配するという形態です。投資家と事業者との間で匿名組合契約を結び、事業者が事業主体として事業を行います。不動産の所有権は事業者にあり、投資家とは金銭のやり取りだけ行われるのが一般的。1口数万円~、運用期間数ヵ月~などと、少額投資、短期運用ができるのが特徴です。

任意組合型は、投資家と事業者の間で任意組合契約を締結して組合を組成し、共同で不動産取得します。一般的に管理・運営は事業者が行い、発生した収益は投資家に分配されます。投資家は出資金額に応じて不動産の所有権を得られるので、相続対策に活用されるケースが多いようです。1口100万円~、運用期間は10年~などと、長期運用で安定収入が期待できるのが特徴です。

REITとは?不動産信託受益権とは?

不動産小口化商品は、よく「REIT」と比較されます。REITは不動産投資信託、つまり投資信託の一種で、不動産投資法人が投資家からの資金で不動産を複数購入し、利益を投資家に分配する金融商品です。証券取引所を通した取引なので、流動性が高く、また数万円単位からの投資が可能です。

一方、ほかの金融商品と同様のリスクを内包しています。証券市場における取引の影響で値動きは大きく、上場廃止や不動産投資法人の倒産などで価格下落や取引停止になる可能性があるのです。

少額からできる不動産投資としては、信託の制度を活用した「不動産信託受益権」というものもあります。信託は、所有する財産を信用できる人などに託して管理や運用をしてもらう制度で、財産を託す人を委託者、管理・運用する人を受託者、利益を受け取る人を受益者といいます。不動産を信託するのが不動産信託であり、そこで発生する利益を受け取れる権利が不動産信託受益権です。

所有不動産を信託受益権化し移転すると不動産特定共同事業法の適用を受けなくなり、事業の自由度が高くなります。また不動産取得税が不要、登録免許税、印紙税も少額という税金面でのメリットも。また任意型の不動産小口化商品と同様に、相続対策への活用も期待できます。

一方で、信託期間が長期で設定されていることが多く、流動性は高いとはいえません。また不動産の小口化とはいっても、最低1,000万円以上の投資額になるなど、手軽さという点ではハードルが高いものかもしれません。

最新デジタル技術が不動産投資を変える

前述のとおり、不動産特定共同事業法が制定されたのは1995年ですが、何度か改正が行われています。2017年の改正では、「小規模不動産特定共同事業」が創設。事業者に対する資本金や出資金の要件が緩和されました。参入ハードルが下がり、全国で問題になっている空き家の活用など、地方創生が促進されると期待されています。

さらに2017年と2019年の改正により、クラウドファンディングの環境整備が進み、インターネットを活用した、不動産特定共同事業法に基づく「不動産クラウドファンディング」が一気に拡大。すべてインターネット上で完結できる、投資金額が1万円程度からと少額、運用期間を自分で選べるなど、手軽さが人気を呼んでいます。

ただ不動産クラウドファンディングは、一般的に「匿名組合型」で随時売買できる仕組みはありません。そこをカバーする商品とされているのが「不動産ST」です。「ST」は「セキュリティトークン」のことで、ブロックチェーンのノウハウを有価証券に応用したデジタルの有価証券のこと。不動産STは不動産持ち分を小口化してデジタル証券にしたものです。現在、証券会社が買い取る形で取引が行われ、比較的換金が容易となっていますが、今後、プラットフォームの整備により、飛躍的に利便性が向上すると期待されています。

また最近注目されているのが「NFT」。非代替性トークン(Non-Fungible Token)のことで、デジタル上でそのデータが本物であることを証明することができる技術です。不動産をNFT化すれば、デジタル上でも現所有者が明らかとなり、またそれまでの取引履歴などの改ざんや偽造を防止できるようになります。現実世界と同様の安全性が担保されるというわけです。

NFTは、メタバース(仮想空間)内の不動産取引にも応用されます。不動産投資は現実世界から、さらには仮想空間へと広がっていくのです。

不動産領域で、加速度的に進むデジタル化。不動産投資がさらに身近に、気軽になる一方で、法整備はまだまだという状況。今後の環境整備が待たれます。また不動産投資がどんなに身近になろうと、投資である以上リスクが伴うことは忘れてはなりません。