自社ビル購入の注意点!安易な節税目的はマイナス面が大きい

相続税対策など、節税目的で自社ビルを購入することがありますが、これは企業にとって必ずしもプラスに働くわけではありません。節税目的で自社ビルを購入する問題点と対策について考えてみましょう。


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節税目的の自社ビル購入における問題

経営者のなかには、節税目的で自社ビルを購入しようと考えている人もいらっしゃるでしょう。しかし、安易な自社ビル購入は節税どころか会社の経営に大きな打撃を与える可能性があります。自社ビル購入のマイナス面についてみていきましょう。

 

キャッシュフローが悪くなる

 

会社の決算書のうち、貸借対照表なら一定期間の会社の財務状況が、損益計算書なら一定期間の会社の経営成績が分かりますが、会社全体のキャッシュフローまでは把握できません。

 

キャッシュフローとは会社経営におけるお金の出入りのことです。

キャッシュフローが悪くなる要因は様々ですが、入金サイトが長く、支払いサイトが短い状態の際に起こりやすくなります。

会社の運転資金が少ないという状況にもつながってしまうので、たとえ利益は出ていても経営自体は厳しくなってしまうでしょう。

 

キャッシュフローの観点から見た場合、「自社ビルの購入」は、かえって会社にとってマイナスになる可能性があります。なぜなら、自社ビル購入はキャッシュフローの悪化を招く要因となる可能性があるからです。以下に理由を説明します。

 

・ビル建築による高額な費用

ビル建築には高額な費用がかかります。購入費を用意できていた場合でも、一時的に大きく現金が減ることになるため、キャッシュフローの悪化は避けられません。

 

もうひとつ、注意しなければならないのが減価償却です。建物に関しては減価償却といって、法定耐用年数に応じて少しずつ費用に計上することはできますが、土地に関しては減価償却がありません。つまり、土地購入費は経費に上げられないのです。

 

減価償却は、購入の翌年以降も法定内で少しずつ経費計上できるメリットがありますが、土地購入費に関しては減価償却のメリットは受けられません。

 

・銀行融資による借入金返済

 

融資を受けて購入した場合も注意が必要です。会計上、銀行などからの融資は、貸借対照表の負債のうち、借入金に区分され、経費には計上できません。

 

毎月のローン返済額+利息分の支払いが発生することになりますが、経費にできるのは利息支払い分のみ。こうなると、収支と実際のキャッシュフローにずれが出てきます。

 

返済は毎月発生するものですので、徐々にキャッシュフローが悪化する可能性があるのです。

 

計画を立てたうえでの自社ビル購入は良いかもしれませんが、このように安易な節税目的で自社ビルを購入すると、キャッシュフローが悪化し、資金繰りが悪くなる可能性があります。

 

事業規模に応じたオフィスの移転ができなくなる

 

自社ビルの所有は、「企業の信頼性アップ」という面においてメリットがあります。しかし、「いざというときすぐに移転ができない」など、変化に対して柔軟な対応ができない点に注意が必要です。事業規模に合わせてオフィスを変えたいと思っても、自社ビルだと難しくなります。

 

新たに自社ビルを所有するとなると、適した物件を探さなくてはなりませんし、今あるオフィスの売却も考えなくてはなりません。何より、再び高額な購入費が発生することになります。

売却によって現金が入ってくることになりますので、初めて自社ビルを購入するときよりも初期費用を抑えることも可能ではあるものの、キャッシュフローが悪化する可能性は十分にあるでしょう。

 

いずれにしても、事業規模に合わせて場所を移転したくなった場合など、自社ビルは賃貸オフィスと比べて融通がききにくいといえるでしょう。

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自社ビルを賃貸利用することで資金繰りをカバーする

自社ビルの購入は、十分な資金があり、購入費を支払っても経営に大きく影響しない規模の企業であれば節税対策にもなるので、特に問題はないでしょう。

 

しかし、自社ビル購入によるキャッシュフローの悪化が経営にも影響してくるようだと、先ほどもお話ししたとおり自社ビルの購入を見直した方が良さそうです。ただし、すべてのケースで自社ビル購入がデメリットになる訳ではありません。

 

自社ビル購入後、すべてを自社で利用しようとするのではなく、賃貸に利用することで資金繰りはある程度カバーすることができます。

 

一部を貸し出すことによって、自社のみの利用では発生しない、家賃収入が得られるようになるためです。家賃収入があれば、これをローン返済や修繕費などに回すことができます。社内での負担が減りますので、ローン返済によるキャッシュフローの悪化を防ぐことも可能です。

 

自社ビルをどうしても購入するのであれば、不動産投資の一環として、フロアや一部屋を貸し出すのが現実的でしょう。

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節税目的の自社ビル購入なら区分所有権オフィスがおすすめ

ここまで、節税目的で自社ビルを購入しても、キャッシュフローなどを無視すると、経営に障りがあるかもしれないとお話ししました。

 

一棟丸ごと自社ビルを購入して、自社で活用しない部分を貸し出すのも対策のひとつではありますが、ここにはデメリットもあります。

 

募集をかけても、入居者が見つからないことには家賃収入は入ってこないためです。いくら格安で自社ビルを手に入れられたとしても、賃貸オフィスとして利用する企業が少なければ期待するキャッシュフローは実現できないでしょう。

 

また、オフィスビル一棟購入するには多額の資金が必要ですから、融資を受けて返済していくことを考えると、空室ができるのは家賃収入の面においてマイナスです。節税目的でオフィスを持つなら、区分所有権オフィスという方法もあります。

 

都心で増えている区分所有権オフィス

近年、都心ではビルの一部を購入できる「区分所有権オフィス」という不動産投資が注目されています。フロアや部屋単位でオフィスを購入できるため、オフィスビル一棟購入よりも初期費用が低く、リスクが軽減できる購入方法です。

 

また、区分所有権オフィスは節税、とくに相続税対策に使えるという点でも注目されています。区分所有権オフィスが相続税評価では「貸家建付地」となるためです。

 

これは、所有する土地に建てた家屋を貸し出している土地という意味。不動産会社の土地に建てられたオフィスの区分所有になりますから、貸家建付地に該当し、自社ビルよりも相続税評価額は下がります

 

また、区分所有権オフィス物件の多くが集まるのは都心です。貸家建付地になることに加え、商業地における路線価は時価と比較してかなり低く算定される理由から、資産の圧縮ができ、相続税評価額を下げるのに適しています

 

タマホームの区分所有権販売事業

タマホームでも、オフィスビルの一部を購入できる「区分所有権販売事業」を行っています。資産価値が下がりにくい都内5区、山手線内側を中心に展開しているのが特徴です。

 

さらに、事業承継にともなう相続税対策の提案も受けられます。タマホームで実施しているのは、不動産購入による、純資産価額評価での算定と株特外し(株式等保有特定会社からの脱却)。

 

経営状況が良いと、自社株評価が上がり、事業承継で自社株を引き継ぐだけの現金が用意できない問題が発生します。タマホームでの不動産購入と相続税対策の提案は、自社株の評価を下げて、事業承継をスムーズに行うためのもの。不動産の相続税評価だけでなく、自社株の相続税評価についても対策可能です。

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まとめ

自社ビルの所有は、必ずしも企業にとってプラスになるとは限りません。キャッシュフローの悪化を招く可能性があるためです。不動産保有による節税を希望するなら、自社ビル以外にも、区分所有権オフィス所有もひとつの選択肢になるでしょう。

 

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