自動車業界の現在
日本経済を支える根幹産業である自動車業界ですが、前述したとおりグローバル化やテクノロジーの進化、ユーザーニーズの変化により、大きな変革を迫られています。
日本経済を支える基幹産業
2017年自動車製造業の製品出荷額は、約60.7兆円に上ります。約60.7兆円という額は日本全体のGDPの約10%を占めており、まさに超巨大産業だといえるでしょう。
2008年のリーマンショック時に、一時的な数字の落ち込みがあったものの、これまで市場は堅調に規模を拡大しています。
また、全製造業の製造品出荷額等に占める自動車製造の割合は約20%であり、機械工業全体で占める割合は約41%になります。
輸出入においても、2018年は自動車関連輸出額が約16.7兆円になり、自動車関連の輸入額は約2.5兆円となっています。これらの数字は、前年比で輸出が4.1%、輸入が9.7%の増加です。
自動車関連産業の就業人口は約546万人で、わが国の全就業人口(6664万人)の約8.2%になります。
自動運転の実用化
自動運転の実用化については、2020年までにレベル4の自動運転が目標とされてきました。
レベル1:運転支援。自動ブレーキや車線をはみ出さないなどの運転をサポート。
レベル2:部分的な自動運転。ハンドル操作と減速加速をサポート。
レベル3:条件付き自動運転。限定エリアで緊急時以外はすべて自動で走行。
レベル4:特定条件下における完全な自動運転。運転手の対応はほとんど不要。
レベル5:完全な自動運転。常にシステムが完全な運転タスクを実施。
また、日本政府は東京五輪に向けて、自動運転の技術による無人タクシーの実用化を宣言しています。
自動車業界の先行きは不透明
自動車業界の先行きについては世界的な景気減速、ユーザーの車に対しての意識の変化により、先行きが不透明になっています。
世界の景気減速
2020年3月現在、新型コロナウィルス感染の影響により、世界景気の後退が懸念されています。
中国の新車市場は、2018年以来の3年連続の減少になると予想されています。インドの市場も金融機関の貸し渋りや、自動車保険の負担増、さらには、新排ガス基準の導入で、販売件数の低迷に拍車がかかる可能性が高いといえるでしょう。
これまで好調であった米国市場も、今回のコロナウィルスの影響で消費の冷え込みが明らかです。欧州では2021年から、CO2排出量の95グラム規制の適用が始まります。
基準をクリアするためにはコストの高い電気自動車やハイブリット車を生産しなくてはならないため、販売台数の低下が懸念されています。
カーシェアリング
シェアリングエコノミーが台頭するなか、ユーザーの車に対しての意識が変わりつつあります。特に20代・30代の若者にとって車は所有するものではなく、「誰かと車を共有し、好きなときに好きな時間だけ利用する」というスタイルが人気となってきています。
カーシェアリングの傾向は、車の保有台数の減少を招き、業界全体の新車生産台数に影響与えることは明らかだといえるでしょう。
自動車関連企業も厳しい
自動車業界全体の変化の波は、自動車関連企業に対しても影響を与えます。
車のEV化が起こると、必要であった内燃機関のエンジンやそれにまつわる部品が不要になります。したがって、これまで必要であったエンジンとその部品を生産する工場の減少や、規模の縮小、また工場で働く従業員の需要が減少する懸念が生じます。
また、鉄製部品が樹脂製に変化しているため、鉄製部品のメーカーにも受注の減少といった影響も考えられるでしょう。
さらに、共通部品の採用による寡占化が進むことにより、新規部品の案件が減るかもしれません。すでに、東海地域の自動車産業の中小企業への調査によると、ハイブリッド車の比率が高くなり、町の自動車工場では修理対応ができなくなりディーラーへ依頼が流れるケース増えています。
出典:「東海地方における自動車産業の動向について」(財務省東海財務局)
将来に備えるために
今後、自動車業界で起こる変化に対して、どのように備えていけばよいのでしょうか?
下請けからの脱却
将来の変化に備えるための方法として、下請け企業から自社で収益を上げられる事業を始めるという選択が考えられます。自社製品の大ヒットがきっかけで、下請け企業から脱却できた大手企業は多いです。
多角化戦略
多角化戦略も、社会や消費者のニーズの変化に対応し、経営基盤の安定化を図るための有効な手段です。そもそも多角化戦略とは、主力事業とは別の新事業やサービスを展開する経営戦略です。収益の安定化を目的とする場合、関連分野への多角化が収益性を向上させやすいといえるでしょう。
また、新規事業を一から立ち上げる場合においても、対象となる企業をM&Aで買収し、蓄積されたノウハウを利用することにより、効率的な経営基盤の安定化を図ることができます。
そのほか、法令強化や業界のイノベーションにより、主力事業が打撃を受けた場合においても、他の事業にリソースを転嫁できます。反対に、新規事業のノウハウを主力事業のダメージを回復する手段に利用することもできるでしょう。
さらに、多角化のメリットとして「シナジー効果」が期待できます。「シナジー効果」とは複数の事業間に起こる相乗効果であり、1+1が2以上の効果を生むことです。
このように、主力事業がなんらかの理由により収益減少があった場合でも、多角化戦略により立ち上げた新規事業が好調であれば、主力事業の経営をカバーすることができるでしょう。
不動産投資
多角化戦略の候補としてよく挙がるのが不動産投資です。
不動産投資は投資の中でもミドルリスク・ミドルリターンですので、メリットとデメリットをよく理解しリスクをうまくコントロールできれば、経営の安定化を目指しやすい魅力的な投資対象だといえるでしょう。自社が持つ物件にテナントを入れて家賃収入を得ることができれば、安定した収益を上げることができます。
はじめやすい区分所有権オフィス
メリットとデメリットが大きく分かれる不動産投資ですが、リスクを抑えて安定した収入を得るのであれば「区分所有権オフィス」がおすすめです。
区分所有権オフィスとは、オフィスビルの1フロアを商品化した不動産投資のことです。オフィスビル一棟を購入するとなれば、多くの資金が必要になりますが、区分所有権オフィスであれば一部のフロアのみの取引のため、購入ハードルは一棟よりも低く抑えることが可能です。
区分所有権オフィスは、対象となる賃借人が法人です。賃借人が個人の場合に比べて賃貸期間が長いため、安定した収益を期待できるでしょう。
当社タマホームの区分保証オフィス™でも、貸事務所業の経営サポートを行っています。不動産投資を熟知した専門スタッフによるサポートですので、「知識や経験がなくて不安」という経営者の方でも安心してください。
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まとめ
今後、自動車業界は大きな変革期を迎えます。変化のサイクルは、ますますスピードを増してきています。
時代の変化の大きな波に飲み込まれずに生き残るためには、将来に備えた十分な戦略が必要になるでしょう。その際は、不動産投資をはじめとした多角化戦略も有効な方法です。
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